西行桜
今日、実家の隣にある公園の桜のつぼみがふくらんでいるのを見て
思い出した事があるので、『西行桜』の思い出を書きます。
たぶん、高校1年生の頃
(坂東玉三郎さんのファンクラブに入って追っかけをしていた頃)
父が私を水道橋にある能楽堂に連れて行ってくれました。
私の父は、その頃能楽に凝っていて、謡う訳ではありませんが
レコードをひとりで良く聴いていました。
父は芸術家タイプですが、私の母は庶民派なので(笑)
(氷川きよし君の舞台とか見に行ったりしているし…)
あまりそういうものには理解を示しませんでした。
ちなみに、母は、今は韓流のドラマに夢中!
退院したら家にあるDVDを見る事が楽しみ~というタイプです。
そういう訳で、(どういう訳だか?)
父は私を『西行桜』というお能に連れて行ってくれました。
このお話の内容は…
西行が一人で桜の古木を眺めたいと
思っていたところ、人々が尋ねてきたので、中に招きました。
けれども西行は皆と離れ、桜は美しいから人を招く…と言って
一人になって桜をとがめているうちに、眠ってしまいます。
その夢の中に、桜の古木の精がやってきて
桜は人に媚びているわけでなく、ただその美しさだけで
何も他にはない…というのです。
(本当の話が知りたい人は、詳しく調べてくださいね!)
何しろ、私には初めての能だったし、
能というのは、終わった後で拍手をしない…とか
細かいルールがあって、歌舞伎のように心が魅かれませんでした。
帰りに、父と歩いているときに
『まるで桜が風に散って舞い落ちているようだったなぁ!』と言われて
『わぁ~…そんな風に感じられるんだぁ~』と思いました。
今の私なら、あの静寂さを味わうことができるかしら。
もう一度『西行桜』を見たら、どんな風に感じるだろうか…
父のように、舞台一面に散る桜を見る事ができるでしょうか?
今週の木曜日に夫が持ち帰ってきたフリーペーパー本の中に
白州正子さんの『西行』という本の紹介文がありました。
彼女は西行の孤独について書いた…という説明に、
私の父もその西行に共感したのかもしれない…と、今頃思います。
私は、年をとったせいか、一本桜に心を魅かれます。
千年以上生きている一本桜の下に行くと、まるで神様がいるような
心の奥底がシンとするような、そんな気もちがします。
あと何回桜が見られるかなぁ…と、実家の母が良く言いますが、
私もそんな気もちになってきました。
今年はなるべく機会を作って、出来るだけ桜を見に行きたいと思います。
桜は、咲くまでが楽しみ! 咲いてしまうとちょっと淋しい気もちがします。
今日の1枚。
どうして
桜が咲くときは
曇り空なんでしょう。
神様が
桜の花に
嫉妬してるのかな?
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