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お茶の水付属幼稚園のこと

私が幼稚園の先生をしていた頃、(20年以上前になります)
毎年、1度 お茶ノ水幼稚園に園の先生全員が
研修に行かせて頂いていました。

私が勤めていた私立幼稚園の先生の半分以上が、
お茶の水女子大出身者は津守真先生、日本女子大出身者は森上史朗先生から
幼児教育を学んでいました。

このお二人の先生は、
お茶ノ水幼稚園の園長先生だった倉橋惣三先生の自由保育を
学生達に教え、実践させることを大切になさっていました。

私は、森上史郎先生に【幼児教育学】を学びましたが、
倉橋惣三先生が書かれた「育ての心」が大学時代の副読本でした。

子供が自主的に動くこと、
自分のやりたい事を選ぶ力をどのようにつけていくのか…ということが、
一番のテーマでした。

私は、研修のときに、一番ベテランでいらっしゃった先生のクラスを、
幸運にも、年少・年中・年長と3年続けて見せていただく事ができました。

自由保育の子供の観察というのは、とても難しいのですが、
観察者は子供の目線で見ること、そして子供の遊びを邪魔しないことを、
配慮して観察します。

このベテランの先生は、
何一つとして大きい声を出される事がありませんでした。
特に年少のクラスでは優しく、フワフワと動かれていて、
本当に優しいおばあちゃまのような感じでした。

今思えば、先生は50代後半だったのでしょうが、
私自身も若かったし、他のクラスを持っている若い先生と比べると、
お年を召していらっしゃるように思いました。

後で、伺ったのですが、定年後に、結婚をなされたそうです。
女性としても、とても魅力的な素晴らしい先生でした。

自由保育というのは、子供が主体ですので、
園庭で遊んでいる中でも、先生の声は聞こえません。

先生は、黒子のように、子供たちをサポートします。
そして、子供同士がけんかをしたときにも
(けんかとは言わず、ぶつかり合い…といいます)
それを、子供たちが解決できるように、見守ります。

私の中で心に残っている話を書きます。
3歳児(年少さん)のときに、小さいシャベルで作った小さい山を、
エイエイと踏みつぶされて、泣いてしまった男の子のことです。

こんなときにも、先生は、踏みつぶした男の子に、
「どうして、こんな悪い事をしたの?謝りなさい!」という
声を、一切かけません。

泣いている男の子と、山を踏みつぶした男の子のそばで
一緒にいて、どんな解決をするのかを、見ています。

まず最初に、泣き声を聞きつけて、同じクラスの女の子がやってきました。
そして、自分のハンカチをだして、泣いている子の涙を拭いてあげました。

踏みつぶした男の子は、早生まれでまだ幼くて自分のしたことが、
あまりわかっていないようでした。悪気はなかったんだろうなぁ…。

さて…どうしよう…何か介入したほうがいいかなぁ~…と
思いながら見ていたら、
クラスでも5月生まれで、年少ながら妹と弟のいる男の子がやってきて
「おい!泣くなよ。俺がもう一度作ってやるよ!」と言って
自分だって充分チビのくせに、一生懸命に山を作り始めました。

誰のことも責めず、もう一度山を作る彼らを見て、
私は幼稚園の先生なのに、泣けて泣けて
仕方がありませんでした。

自由保育は、先生が考えて考えて作っていく保育です。
子供たちが安全に伸び伸びと成長する環境を作り
信じて待っていること。
それだけで、子供たちは大きくなっていきます。

幼稚園の先生の時に、子供たちから学んだことが、
私の中で、今でも宝物のように、一杯光っています。

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