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幼稚園の先生

私が3歳のときに担任をしてくださった幼稚園の先生が
体調を崩されたと伺い、お見舞いに行きました。

私が伺った翌日に、先生は天に召されたので、
最後にお会いしてお話ができたことが奇跡のように思います。

先生は、私の3歳の頃のことをよく覚えていてくださいました。

「むつみちゃんは、本当に可愛かったのよ。
いつでも泣いてばかりいたから、私が抱っこして
オルガンを弾いて歌を歌ったのよ」

「むつみちゃんのお母さんは、あなたのことが心配になると
私のところによく相談に来ていたのよ」

…などと、ひとしきり私の小さいころのことを
懐かしそうにお話してくださって、私は少しだけ泣きながら、
笑顔で先生の声を聞いていました。

あまり長い時間、病室にいるとお疲れになると思ったので、
「先生、握手してください」とお願いしたら、
私の手を強く握って、こう言いました。

「働きものの手をしているわ」って。

3歳の頃の私は、何度も先生に手をつないでもらって
悲しいときにはたくさん慰めてもらって、
ひとりぼっちにならないでいたんだなぁ~…って想いながら、
病院からの道を歩きました。

私は怠け者なのに、働き者と言ってくださった先生に
嘘をつかないように、働き者でいようと思います。

先生からの最後の励ましの言葉を大切にしようと思います。

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